
辛坊治郎氏のメルマガによると被災地では復興速度が遅いので、大問題が起きているそうです。
震災から丸五年経過しても、仮設住宅で暮らす人が5万人もいるとのこと。阪神大震災の時には、丸五年で完全に退去が終っているのに、元々高齢化が進んでいた東北の被災地で、人生の残り時間が限られている高齢者が、いつまでも仮設に押し込まれているのは耐え難いことでしょう。
しかし、公営住宅の高台建設にしても自力で家を建てるにしても、官僚主義と縦割り行政がこれを阻んで、にっちもさっちも行かないそうです。その一つが
土地の買収。現在の所有者が不明になっているケースが多く、○○家の山であることまでは分かっていても、登記簿の相続手続きがとられていないため、土地を買収しようとすると、現在の所有者を捜索・確定し、過去に遡って相続手続きをして、共有の場合には地権者全員の承諾を得なくてはいけない訳で、これでは時間がかかるのは当たり前です。
固定資産税あるいは、相続税はどうなっていたんだって思いますが、たぶん二束三文の山地だったため、所有者も、行政も、税務署も、いちいち所有者を確定して納税、課税するなんて面倒な事をしてなかったのだろうというのが辛坊氏の推測です。
もう一つ、宅地造成が遅れた理由は、
埋蔵文化財の発掘調査だそうです。三陸海岸は、平安時代には既に結構人が住んでいたようで、今まで単なる裏山だと思っていた場所でも遺跡みたいなものが出てくるんだそうです。文化財が出土すると、いったん工事をストップして、文化庁にお伺いを立てながら発掘調査を行わなくてはならない。ご存じのとおりこの調査は2年かかります。
本来なら東北に復興庁を置き、ここに各省庁が持っている権限を集約して、復興庁の判断で、人命最優先で復興を図るべきだったのに、東京の縦割り行政・官僚主導で行われた結果、5年たっても仮設住宅の中で多数の高齢者が最期を迎える事態になっており、この期に及んで文化財の発掘調査をしてる場合か!って、辛坊さんは憤っていました。
かつて、阪神淡路大震災の時も、道路に放置された私有車両を所有者の許可なく動かすことができないとのことで、消防車や自衛隊車両の通行が妨げられたことがありました。本来、このような非常事態の時は、特例法のようなものを作って置き、人命最優先、復興・復旧最優先の行政主導体制を確立すべきなのですが、こう言うとすぐ「戒厳令」だとか「独裁主義」だとか左翼の方々の批判が起こり、結局何もしないまま、いつも後手後手に回ってしまっているのが現状です。
もういい加減、防災・防衛のあるべき姿をちゃんと整えないと、日本は
とんでもないことになるのではないか、つくづく危惧されます。
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